FIRPTAおよびHARPTAに関する解説:ハワイで不動産を売るときの大切な税金の話
公開日:2025.04.10 更新日:2025.04.10

米国やハワイで不動産を購入し、将来的に売却を検討されている方も多いと思います。そんなときに耳にするのが「FIRPTA(ファープタ)」や「HARPTA(ハープタ)」という言葉。
「なんだか難しそう」「お金が取られちゃうの?」と感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、ご安心ください。
きちんと仕組みを理解すれば、落ち着いて対応できます。
このページでは、初めての方でもわかりやすく、源泉徴収税にあたる、FIRPTAとHARPTAの基本と対応方法を解説します。
FIRPTAとは?日本人を含む、外国人がアメリカの不動産を売却する際に必要な「源泉徴収制度」
FIRPTA(Foreign Investment in Real Property Tax Act)は、米国外の非居住者が米国の不動産を売却する際に、連邦政府が源泉徴収を義務付ける法律です。これは、外国人売主が適切に税金を納めることを確実にするための措置です。
税率
標準税率:売却価格に対して、一律 15%が源泉徴収されます。
例外:
- 売却価格が30万ドル以下で、買主が主たる住居として使用する場合、源泉徴収は免除されます。
- 売却価格が30万ドル超100万ドル以下で、買主が主たる住居として使用する場合、税率は10%に軽減されます。
課税対象
売却価格全体が源泉徴収の対象となります。これは、売主の実際の利益(キャピタルゲイン)ではなく、総売却額に基づいて計算されます。
課税のタイミング
不動産の登記完了時(クロージング時)に、買主またはその代理人(エスクローエージェント等)が源泉徴収を行い、売却完了後20日以内にIRS(内国歳入庁)へ納付する必要があります。
還付手続き
源泉徴収額が実際の税負担を超える場合、売主はIRSに対して還付請求を行うことができます。これには、以下の手順が必要です:
ITIN(個人)の取得:米国納税者番号(ITIN)を持っていない場合、Form W-7を使用して取得します。
EIN(Employer Identification Number)(法人)の取得:米国法人納税者番号(EIN)を持っていない場合、IRSフォーム SS-4を使用して取得します。 これは、日本でいう法人番号に近いものです。
税務申告書の提出:売却年の翌年にForm 1040NR(非居住者用所得税申告書)を提出し、実際の税額を計算します。
還付請求:源泉徴収額が実際の税額を超えている場合、その差額の還付を請求します。
還付までの期間
還付までの期間はIRSの処理状況等によりますが、一般的には米国確定申告を経て、1年程度とされています。
源泉徴収義務
意外に感じられるかもしれませんが、源泉徴収義務は買主にあります。買主が適切に源泉徴収を行わなかった場合、未納税額に対する責任を負う可能性がありますので、ご注意ください。
HARPTAとは?
HARPTA(Hawaii Real Property Tax Act)は、ハワイ州が非居住者による不動産売却時に源泉徴収を義務付ける州法です。これは、州外の売主がハワイ州税を適切に納付することを確実にするための措置です。 ※ハワイ州居住者以外の売主が対象になるため、例えばニューヨーク州居住の売主は対象となります
税率
- 標準税率:売却価格に対して、一律 7.25%が源泉徴収されます。
課税対象
売却価格全体が源泉徴収の対象となります。これは、売主の実際の利益(キャピタルゲイン)ではなく、総売却額に基づいて計算されます。
課税のタイミング
不動産の登記完了時(クロージング時)に、買主またはその代理人(エスクローエージェント等)が源泉徴収を行い、売却完了後20日以内にハワイ州税務当局へ納付する必要があります。
還付手続き
源泉徴収額が実際の税負担を超える場合、売主はハワイ州税務当局に対して還付請求を行うことができます。これには、以下の手順が必要です:
税務申告書の提出:売却年の翌年にハワイ州の所得税申告書を提出し、実際の税額を計算します。
還付請求:源泉徴収額が実際の税額を超えている場合、その差額の還付を請求します。
還付までの期間
還付までの期間はIRSの処理状況等によりますが、一般的にはハワイ州における確定申告を経て、1年程度とされています。
源泉徴収義務
FIRPTA同様に、源泉徴収の義務は買主にあります。買主が適切に源泉徴収を行わなかった場合、未納税額に対する責任を負う可能性がありますのでご注意ください。
HARPTAの源泉徴収を免除できる場合あり
法人のみが対象となりますが、予めハワイ州DCCA(商業・消費者保護局)に法人登録することで、HARPTAの源泉徴収を免除できる場合があります。
HARPTA免除となるためのDCCA登録条件
- ハワイ州DCCA(商業・消費者保護局)に法人登記されていること
- 登録された法人が“Good Standing”(適正な状態)であること
- DCCAに提出した住所情報にハワイ州内の営業所・支店・物理的な拠点が明記されていること
- 売却者がハワイ法人または、ハワイで正当に活動する外国法人であること
州ごとの源泉徴収制度 連邦は共通、州ごとに異なる
州によって制度は異なりますが、以下は他州における一例です:
州名 | 源泉徴収の有無 | 税率・特徴 | 費用負担者 |
---|---|---|---|
ニューヨーク州 | あり | 最大 8.82%(利益に応じて) ニューヨーク州内の不動産売却によるキャピタルゲインに課税 |
売主 |
カリフォルニア州 | あり | 売却価格の 3.33% または 利益に対する最大 12.3% 州内不動産売却によるキャピタルゲインに課税 |
売主 |
テキサス州 | なし | 所得税なしの州。不動産売却による州レベルの源泉徴収制度も存在しない | - |
まとめ|安心して不動産売却を進めるために
FIRPTAやHARPTAといった制度は、不動産取引の透明性を守るために整備されたものです。
「難しそう」と思える制度も、正しく理解し準備すれば、何も怖がることはありません。
- 不動産エージェント
- 税理士・会計士
- エスクロー会社
といった専門家が、しっかりサポート致しますので、ご安心ください。
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※本記事は、2025年時点での情報をもとに作成しており、米国不動産売却に伴う各種税金の納付ルールや税率は変更される可能性がございますので、必ずCPA(米国公認会計士)等の税務アドバイザーに最新情報をご確認の上、ご対応くださいますようお願い致します。