ハワイで不動産を所有する場合の所有形態とは
公開日:2020.06.15 更新日:2020.06.15

ハワイの不動産は、過去数10年間から現在に至るまで投資家の間で非常に注目を浴びている存在です。島国という限定された土地のため資産価値も崩れにくく、築年数よりもロケーションが価値に大きく反映されるため、日本のように建物の古さの影響を受けにくいことも特長となっています。
今回はハワイの不動産を運用する際に、是非知っておきたい所有形態について解説します。
ハワイでの不動産購入には「所有権」「借地権」の2種類の権利がある
ハワイでの不動産の所有形態は大きく分類すると、「所有権」と「借地権」の2種類があり、「所有権」はさらに、フルオーナーシップ(完全所有権)とフラクショナルオーナーシップ(分割所有権)のどちらかに分けられます。
また、所有権については、以降で詳細に触れていきますがフルオーナーシップならば更にコンドミニアム、ホテルコンド、戸建てと細分化していき、フラクショナルオーナーシップならばフラクショナル、タイムシェアというように派生していきます。
なお、この内タイムシェアは、一定期間滞在する権利を購入するものであるため、厳密には所有権、借地権の各分類には含まれません。
所有権(Fee Simple)とは?
ハワイにおける不動産の所有権は、日本における不動産の所有権とほぼ同義の意味で、英語では「Fee Simple」と言います。不動産リストの物件価格の右側には、略して「FS」と書かれています。
土地と建物両方を所有する権利であり、不動産を使用・収益・処分ができるため、自由にに売却や遺贈ができます。その分、借地権の物件と比べると購入価格は高くなります。
フルオーナーシップ(完全所有権)
フルオーナーシップ(完全所有権)とはその名の通り、法人や個人が不動産(土地・建物)全てを所有する形態のことです。前述したように戸建てやコンドミニアム、ホテルコンド等がこの分類に含まれます。この形態は完全所有権の名の通り、個人で自由に不動産運用ができるのが最大の特徴です。
ただし借地権のケースと違い、所有権を取得した場合高額な資金が必要で、固定資産税も支払わなくてはならないので事前の資産準備が求められるでしょう。また、書類手続きなど済ませなければならない事柄も多くなります。
しかし、借地料を支払うことなくランニングコストが抑えられるので、長期的に見れば借地権での運用よりも費用を抑えることが可能です。加えて、自身の所有物という実感が得られるのもフルオーナーシップの醍醐味と言えるでしょう。
ちなみにフルオーナーシップの派生所有形態の内、戸建ての不動産はハワイだと立地や用途の事情から旅行客のレンタル需要は低いものとなっています。
・コンドミニアム
コンドミニアムとは分譲住宅を指す言葉です。日本的に言うならば分譲マンションと表した方がイメージしやすいかもしれません。ただ、アメリカ、もしくはハワイ不動産におけるコンドミニアムとは室内が広く、プールの仕様が可能だったりビーチが見渡せるような超高級マンションとしての意味合いが強くなります。
これは何故かというと、ハワイは誰もが知るリゾートの名所であるため通常の住まいにするのではなく、リゾートホテルとして物件を運用するのがスタンダードになっているからです。日本でも短期間の間マンションの一室を貸すような運用が近年多くなっていますが、ハワイの場合バカンスシーズンが存在するので不動産投資はより活発的になっています。 また、コンドミニアムの所有形態のメリットとしては、ハワイ全体の宿泊代が上がる時期に自身が費用を気にせずに使用できることも挙げられます。
・ホテルコンド
ホテルコンドとはホテルの各客室を分譲する所有形態のことです。コンドミニアムと運用の仕方はほぼ変わりませんが、ホテルの運営会社に管理を頼めるのが最大のポイント。アメニティの補充や部屋の掃除などの潤沢なサービスを受けられるので通常のホテルと遜色のない利用が可能です。
ただし、オーナーといえども部屋を使用するには地区の利用法やホテルの利用ルールに準じる必要があるので、運用を考えている方は注意しましょう。所有権があってもチェックイン・チェックアウトをしなければなりませんし、ホテル側の都合によりペットを連れ込んだりすることが出来ない場合も多いです。
なおかつホテル一室を借りるという都合上、固定資産税の高さが気になったり、自身の所有物件としての実感が湧きにくいかもしれません。
フラクショナルオーナーシップ(分割所有権)
フラクショナルオーナーシップというのは単一の物件に対して複数人が所有権を持つ形態のことを指します。こちらは日本での持分共有に当たる所有形態と考えておくと理解しやすいでしょう。なお、フラクショナルオーナーシップはあくまでも、権利形態の一つであるため、運用する不動産の種類制限はありません。
ちなみにこのタイプの場合、利用期間は基本的に共有者同士でお互いの期間が重ならないように調整します。固定資産税やメンテナンス費用は共有者と分け合う形になるので、あまりお金をかけずに不動産投資がしやすいのが魅力です。
また、フラクショナルオーナーシップもオーナーシップという文字が含まれているように所有権に該当しますので相続売買や登記が可能です。ただし、前述したように持分共有のようなものですので、立て替えや各手続き時は他オーナーの同意が必要となります。
・フラクショナル
フラクショナルとは最大6人が1部屋のオーナーとなり、所有者ごとに約2ヵ月程度の連続した所有権が与えられる形態のことです。この6人という人数はハワイ州の法律によって決められています。後述するタイムシェアと性質が似ているので、タイムシェアがグレードアップした形態というイメージを持っておくと覚えやすいでしょう。
休暇で利用する時期だけ不動産を所有するなど、所有形態を選びやすくバリエーション豊かであるため、フラクショナルはアメリカの富裕層の定番投資商品となっています。
・タイムシェア
タイムシェアは最大52人で不動産を取り扱う形態です。この52という数字は1年間を52週としている部分から由来しており、1週間単位で各所有者が存在することになります。
このタイムシェア形態を販売しているのは主に「ヒルトン・グランドバケーション・クラブ」などの大手ホテル企業です。そのため、大型バルコニーや広大なベッドルーム、多数の機器が備わったキッチンなど設備やグレードの高い物件が多数存在しています。
このタイムシェアのメリットはなんといってもフラクショナルよりも初期投資額を安価にできること。ただでさえ、運用しやすいフラクショナルよりもさらにお手軽な運用が可能になります。ハワイを含めて様々な場所で利用できます。
なお、このタイムシェアは購入価格が高額であるほど、バカンスシーズンの利用ができたり、宿泊税のかからない長期間の使用が可能になるのも魅力です。またタイムシェアはポイント制になっているので、ヒルトンホテルやシェラトンホテルでは他ホテルとのエクスチェンジもできます。
ここまでお伝えしたような多大な魅力を持つタイムシェアですが、デメリットとして運営会社から直接購入する価格と、売却する価格が大きく差が出てしまうリスクがあるということを考慮しておかねばなりません。オーナーが年を取って旅行しなくなったり、家族の結婚などで利用頻度が下がるなどして不動産が売りに出ても、リセール市場の認知度が低く買い手が集まりにくいため、売却価格が下がってしまいます。
もちろん、そうした点をあえて把握した上で最初から中古購入を考えるならば、そのデメリットをお得に手に入るメリットとして扱うこともできるでしょう。
借地権(Leasehold)とは?
借地権は、土地を一定期間賃貸借契約で保有し、建物のみを所有する権利のことです。英語では「Leasehold」と言います。不動産リストの物件価格の右側には、略して「LH」と書かれています。
建物のみを所有する権利のため、物件の購入価格は所有権のものと比べると安いですが、毎月借地料を支払う必要があります。
また、借地権の期間は決まっているので、満期を過ぎると土地と建物を貸主に返却する必要があります。また更新時に毎月の借地料が上がるリスクもあります。
まとめ
ここまで、ハワイで不動産を購入する場合の権利の種類について見てきました。 日本における不動産の所有形態と若干事情が違うので、この機会に知識として取り入れておきましょう。