【2025年最新版】米国の支払調書(Form W8 ECI, W9 etc.)の違いとは?

公開日:2025.04.09 更新日:2025.04.09

【2025年最新版】米国の支払調書(Form W8, W9 etc.)の違いとは?

不動産投資家・事業者が知っておくべき Form W-8 ECI / W-9 / W-8BEN / W-8BEN-E の基礎知識

米国不動産市場への投資がグローバルに広がる中、日本を含む外国人投資家や法人が米国で収益を得る際に必ず関わるのが「IRSフォーム(支払調書)」です。

この記事では、主に使われる以下の4つのフォームについて、用途・対象・提出の必要性を明確に解説していきます。

  • Form W-8ECI(米国内の事業所得がある外国個人・外国法人向け)
  • Form W-9(米国居住者向け)
  • Form W-8BEN(外国個人投資家向け)
  • Form W-8BEN-E(外国法人向け)

✅ Form W-8ECI

対象者:外国籍の個人/法人(非米国居住者)

用途:米国の「事業所得(ECI)」に関する課税処理(源泉徴収免除)

主な使用場面

  • 米国内で不動産賃貸業を継続的に行っている場合
  • 外国法人が米国で事業活動を行い、サービス提供・不動産運用などをしているケース

ポイント

  • 所得が米国内で「効果的に連結された所得(Effectively Connected Income:ECI)」と判断された場合に提出
  • 米国での納税義務が生じるが、源泉徴収を回避し正確な課税を受けることができる
  • 米国納税者番号(TIN)の取得が必要

🔗 ダウンロード(IRS公式)Form W-8ECI (PDF)

※Form W-8 ECI の記入例については、本記事内文末をご参照ください。


✅ Form W-9

対象者:米国市民・永住者、または米国法人

用途:TIN(納税者番号)提供と源泉徴収免除/調整

主な使用場面

  • 米国内の銀行口座開設
  • 米国企業との契約、配当や報酬の受取
  • 米国不動産に関わる業務委託契約(エージェントや管理業務など)

ポイント

  • 米国居住者が提出対象。非居住者はこのフォームを使用しません。
  • 未提出の場合、24%の源泉徴収(Backup Withholding)が課される可能性が有る為注意。

🔗 ダウンロード(IRS公式)Form W-9 (PDF)


✅ Form W-8BEN

対象者:外国籍の個人(非米国居住者)

用途:米国源泉所得に対する租税条約適用(源泉税軽減)

主な使用場面

  • 米国株式・証券の配当受取
  • 銀行預金の利子やその他投資収益の受領

ポイント

  • 3年ごとの再提出が必要
  • 日本と米国間の租税条約により、通常30%の源泉税が10%以下に軽減されるケースもあり
  • 個人が米国内の収益に対して納税義務を負わない場合でも、このフォームの提出は必要

🔗 ダウンロード(IRS公式)Form W-8BEN (PDF)


✅ Form W-8BEN-E

対象者:外国法人・パートナーシップなどの事業体(非米国居住法人)

用途:法人として租税条約の適用申請(源泉税軽減)

主な使用場面

  • 法人が利子・配当・ロイヤリティ等の投資収益を得る際

ポイント

  • Form W-8BENの法人版。より詳細かつ複雑な記載が必要(業種や分類に応じた選択肢あり)
  • 米国内での法人活動がない場合も、所得が発生するなら提出義務あり
  • 租税条約による源泉税の軽減・免除を希望する場合に必須

🔗 ダウンロード(IRS公式)Form W-8BEN-E (PDF)


📝 記入例の要約:「Form W-8ECI」の基本構成と実務ポイント

※【Version (Rev. October 2021) 】をベースにご説明しております。今後フォームのフォーマット変更や情報更新の可能性もありますので、必ずIRSのホームページから、最新版をご利用いただくようお願い致します。

項目 内容 記入時の注意点
Line 1 受益者名(Beneficial Owner) 実際に収入を得る個人・法人の名称を記載。以降すべての情報はこの名義に紐づける。
Line 2 法人の場合:設立国 法人や信託などの事業体は必ず記入。例:Japan、Singapore など。
Line 3 非課税取扱事業体(例:LLCなど) 受益者ではなく支払い受領者がディスレガーデッド・エンティティ(例:単独LLC)の場合、その名称をここに記載。
Line 4 エンティティ種別 「個人」「法人」「パートナーシップ」など、該当する区分に必ずチェック
Line 5 恒久的居住地住所 受益者の居住国の住所(日本など)。郵便私書箱不可。
Line 6 米国内ビジネス住所 米国での不動産業務を行う所在地。必ず米国住所を記載し、海外住所は不可。
Line 7 米国納税者番号(TIN) 9桁のITINまたはEIN。記入必須。未取得の場合は申請が必要。
Line 8a 居住国の納税者番号(FTIN) 日本在住の個人であれば「マイナンバー」を記入
Line 8b FTINが法的に不要な場合はチェック 居住国がFTINを発行していない場合、あるいはその提出が法的に義務付けられていない場合は、必ずボックスにチェック
Line 11 所得の内容記載欄 「Rental income from U.S. real estate under ECI」など、所得の具体的な内容を明記。
Part II 認証・署名欄 署名、日付、印字された氏名、署名権限のある肩書(例:Managing Memberなど)を記入し、チェックボックスの選択も忘れずに。

⚠️ 補足:このフォームが適切でないと感じる場合(例:事業活動がない、賃料がFDAP所得として扱われるなど)、W-9や他のW-8フォームの可能性もあるため、必ず独立した税務アドバイザーにご相談ください。


🔍 各フォームの比較一覧表

フォーム 対象者 主な用途 居住区分 租税条約の利用 米国納税義務
W-8ECI 外国人・法人 米国事業所得の課税処理(ECI) 非居住者 不要(別扱い) あり
W-9 米国市民・法人 TIN報告・源泉徴収免除 米国居住者 不要 あり
W-8BEN 外国籍の個人 源泉税の軽減(租税条約) 非居住者 あり 原則なし
W-8BEN-E 外国法人 源泉税の軽減(租税条約) 非居住法人 あり 原則なし

💡 まとめ:フォーム選択を間違えると課税トラブルの原因に!

米国不動産からの収益がある場合、適切なフォームを提出しないと過剰な源泉徴収やペナルティが発生する可能性があります。

  • 「米国居住者か否か」
  • 「法人か個人か」
  • 「所得の種別はなにか」

これらの条件をしっかり確認し、状況に応じた正しいフォームを提出しましょう。

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