ハワイの不動産取引における「エスクロー」とは?

購入方法・プロセス

公開日:2020.06.15 更新日:2020.06.15

ハワイで不動産を購入しようとすると、日本では耳慣れない「エスクロー」ということばを耳にしますが、これはどのような仕組みなのでしょうか。

そこでこの記事では、エスクローについてその仕組みやメリットなどを詳しく説明していきたいと思います。

エスクローとは?

エスクローとは、ひと言で言うと取引の際に売主と買主の間に信頼を置ける中立な第三者を仲介させる仕組みです。不動産取引の安全性を確保するためにアメリカで発達した仕組みであり、最近は不動産取引だけでなく電子商取引の決済などでも活用されています。

不動産の売買にあたって、購入代金の受け渡しや書類作成などの手続きを、中立な立場で取り仕切るサービスがエスクローの役割です。外国人の買主にとっては、売主と直接取引を行うことに不安を持つこともあるかもしれません。エスクローを利用することで取引の透明性が高まりますので、取引における不安を軽減することができるのです。

エスクロー会社が行う業務と流れ

ハワイで不動産取引を行うときは、エスクロー会社が買主と売主の間に入ることが一般的です。買主と売主だけで直接取引することも可能ですが、高額な不動産取引における安全性や保証面を考慮すると、エスクロー会社を利用した方が合理的だと言えます。

エスクロー会社の行う業務

エスクロー会社は売主と買主の間に入り、次のような役割を果たします。

(1)売買契約書で定められた各種契約条件の確認

ホームインスペクションの実施結果やローン承認結果、その他売買契約上の条件の確認と、その条件が履行されたことの確認を行います。

(2)買主の権原保険(タイトル・インシュランス)加入手続き

ハワイ州では買主は不動産の購入にあわせて権原保険に加入します。権原保険とは対象となる不動産を調査して、抵当に入っている物件かなどの条件を確認して権原状態のリスクを引き受けます。不動産購入後に条件に反する状態が判明した場合、保険料金に従って買主と貸主に金銭的補償が行われます。

(3)取引に必要な書類の確保と各種書類への署名依頼

(4)売買代金や諸費用の預かりとその清算手続き

(5)登記手続き(登記申請)

エスクロー業務の流れ

それでは、実際の業務の流れはどのようになるのでしょうか。以下に業務の流れを簡単に説明します。

(1)買主から売主にオファーを提出する

(2)売主との交渉

売主から受諾、再交渉、拒否のいずれかの返答があります。

(3)売買契約書成立

売買契約が成立したら、買主・売主が署名をした契約書類ともに買主は頭金をエクスロー口座に入金します。

(4)物件調査(ホームインスペクション)

物件の状態を売主側の視点で調査し買主側に開示し、買主側は物件検査の専門家に依頼して、物件の構造や設備、状況を報告書にまとめてもらい売主側に報告します。

売主と買主の両方が対象物件の状態を合意して第三者機関であるエスクローに報告するので、状態が大きく異なった状態で取引されるリスクや、情報に乏しい買主が売主にだまされてしまうリスクを減らすことが可能になります。

(5)ローン残高

売主がローンを組んで物件を購入していた場合、残高があるかについて調査を行います。

(6)管理料金の延滞がないか

管理料金を一定期間以上延滞すると、物件自体の権利が管理組織に移ってしまいますので、滞納していないか調査を行います。

(7)登記情報の確認

対象不動産について現在の登記情報を調査します。一部の物件は法人や信託が所有している場合もあります。また、抵当権や借地権がついている場合などもありますので、問題のない物件であるか確認を行います。

(8)権利書の作成と必要書類の用意

エスクロー会社が新しい権利証を作成します。見積もり金額やその他の手続き書類を作成し、その書類を買主と売主の双方に送付します。

(9)エスクローの完了

買主は権原保険規約(タイトルレポート)を受け取り、融資銀行には貸主用権原保険規約が渡されて、手続き完了です。 公証した権利書を登記所に提出し所有権を移転し、エスクロー口座を最終精算して終了です。

エスクロー会社が入ることによるメリット・デメリット

エスクロー会社が入ることによるメリットは、不動産取引において買主や売主に保証や安心をもたらすことです。

日本から遠く離れたハワイで、不動産物件を購入するのには心配もつきものです。海外での不動産購入は、言語の違いによるコミュニケーション不足だけでなく、現地の情報が不足していたり、現地まで行って物件を確認したりする時間や費用が限られるなどの問題が起きやすいといえます。

エスクロー会社を利用することで、売主は売却金額の入金が保証され、買主は物件調査が行われた物件を購入することができるのでどちらも安心を得られます。

エスクロー会社が入ることのデメリットは、ひと言で言うと費用が高い点です。エスクローは多くの調査を行い、何重もの保証が行われます。何かあったときに保証があるメリットは大きいのですが、その分費用がかさむことが問題になります。

それでは、どのくらいの費用がかかるのか次に見ていきましょう。

エスクロー会社の費用

エスクローにかかる費用は、一般的に対象となる物件価格の1~2%をエスクロー会社に手数料として支払うことになります。この手数料は、通常は売主と買主が折半で負担します。

なお、不動産仲介手数料について、ハワイでは売主のみが払います(通常6%)。買主は一切仲介手数料は払う必要はありません。

まとめ

ハワイで不動産の購入を考えている方は、日本では馴染みがないですがハワイの不動産取引では重要な「エスクロー」という仕組みを理解しましょう。

エージェントを介して売買契約の手続きが進められますが、売り手と買い手との間で中立な立場にあるエスクロー会社が入ることにより、安心・安全に手続きを行うことができます。

日本の不動産取引の慣習にはない「エスクロー」を利用することで、ハワイの不動産 購入時の不安を軽減し、安心して取引が行えるものと覚えておくとよいでしょう。

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