なぜ日本人はハワイに別荘を所有するのか

公開日:2021.08.30 更新日:2021.12.08

旅行好きの間でしばしば語られる「ハワイに始まり、ハワイに終わる」というフレーズの通り、旅の目的地として世界中の人々を魅了してやまないハワイですが、今回は投資先としてのハワイ、その中でも「不動産」に焦点を当て、コロナ禍における相場感から、なぜ日本人がハワイに別荘を所有するのか、その理由に着目してみたいと思います。

コロナ禍における、ハワイ不動産市場の動向

2021年8月現在、帰国後の待機要請をはじめとする水際対策が継続されていることもあり、日本からの渡航はままならない状況が続く一方(2021年6月 コロナ禍前比 98.5%減/「Hawaii Tourism Authority」調べ)、不動産市場は過去最高値を更新するほどの堅調な推移を見せています。下記は、ホノルルの戸建・コンドミニアムにおける「中間価格・成約件数」の年度別推移です。

出所:Honolulu Board of Realtors

2020年7月は、感染拡大の煽りを受け、前年度を下回ったものの、2021年7月には、戸建・コンドミニアムともに過去最高値を更新、現在もこの急上昇を維持しています。その主な要因としては、

1. 住宅ローンの歴史的低金利

過去10年における最高値が、2019年11月の4.94%であったのに対し、底値である2020年12月には、2.65%までの引き下げが起こりました(下記グラフ参照)。

米国 30年固定住宅ローン金利 出所:FRED 30年固定住宅ローン金利

2. 移住者・旅行者の増加

ワクチン普及に下支えされる形で「安心・安全」を求めて、全米の中でも低感染率を保つハワイへの移住者も増加傾向です。また、国内線に活路を見出す各航空会社が展開する格安航空券販売や、真面目に働く方が割を食うと揶揄されるほど手厚い失業保険給付も相まって、米国本土からの旅行者数は、コロナ禍前の水準を上回るほどの急回復を見せています。

3. 地元住民の住み替え

観光業では大きな痛手を被ったハワイにありながら、前述の住宅ローン低金利とリモートワーク普及に後押しされ、地元住民の「より住みやすい住宅」を望む需要もまた喚起されています。

なぜハワイに別荘を所有するのか

そんな活況を呈しているハワイの不動産市場において、大きなマーケットの一つである別荘・セカンドホーム需要について、その投資理由を掘り下げてみましょう。

1. 賃貸運用可能な国外拠点

一年を通して心地良い貿易風が吹き、温暖な気候のハワイは、昨今のワーケーション、いつでも使える多拠点生活の実現には理想の地とも言えます。別荘オーナーの滞在期間は、年間平均 2週間~1ヶ月とされており、利用しない期間は、経費負担軽減とメンテナンスの観点から、賃貸運用されるケースが多く見受けられます。用途地域に依るものの、ホテルコンドミニアムは1泊~、コンドミニアムは1ヶ月~のバケーションレンタルとして、貸出期間に関わらず、賃貸需要が高いのもリゾート地ならではですが、その利回りは一般的にNet 1~3%とされています。また、東日本大震災の直後には、有事に備えたBCP(事業継続計画)対策としての機運も高まりました。

2. 海外資産を組み込んだポートフォリオ構築

資産形成の選択肢の一つとして、実物かつドル資産である、ハワイ不動産をポートフォリオに組み込むことにより、資産のバランス化・リスク分散を図る見方もあります。不動産価値に比例するともいわれる人口動態の観点で、米国は、毎年緩やかな右肩上がりの増加を見せています(2019年米国人口増加率:0.48%増「米国商務省センサス局」調べ)。また、前段の通り、日本と比較するとインカムゲインは低い一方で、出口戦略としてのキャピタルゲインには期待が持て、下記グラフの通り、人口動態と同じく毎年緩やかな上昇を見せています。

過去30年ホノルルの戸建・コンドミニアムにおける「中間取引価格」の年次推移

出所:Honolulu Board of Realtors

1991年バブル崩壊、2008年サブプライムショック、そしてコロナ禍、三度の経済危機に瀕し一時的な下落を見せるものの、その影響度は極めて軽微で大局的には持続的な右肩上がりです。

3. 法人税の繰り延べ効果

2020年までのトレンドであった、海外の築古不動産を活用した「個人向け」の所得税圧縮効果は、税制改正により封じ込めが図られましたが、「法人向け」の法人税繰り延べ効果としては、引き続き有効です。これは、米国不動産の特長である「高い建物評価」とハワイ特有の「中古物件の安定した資産価値」を背景に、一定の築年数を経過した中古物件を保有する事で、賃貸収入を得ながらも、他方発生する損失(減価償却費)を、所得の総額から差し引く事が出来るという、所得税法の仕組みを活用したスキームです。物件の法定耐用年数により異なりますが、中古資産簡便法を用いることで、4~7年間で加速度償却を実行することが可能とされています。法人の場合、福利厚生施設やゲストハウスでの運用を含め、不動産投資として取り組むケースが多いのも特徴です。

※上記は、情報・税務メリットの正確性・完全性についての保証をするものではございませんので、税理士とご確認の上、ご判断いただきますようお願い申し上げます。

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